「……」

 ソッとカバンの中から携帯を取り出す。お知らせを見ると『No Name』の文字。

 王宮さんはいま目の前にいるし、どう見てもメールを打った風はない。

 となれば――

「……(はぁ)」

 一度目を閉じて、深呼吸をする。さぁ、今日はどこのルートから帰ろうかな……。

 裏?

 正々堂々表?

 いや、体育館にある秘密の抜け口?

 それから、いや、それとも……