「王宮さんって、喋らない方ですよね」

「へ?」

「いや、何となく……というか、そうですよね?」

 私の鞄が置いてある教室まで二人で戻っている最中、ずっと無言なままというのも落ち着かないので話しかけてみる。

 言うまでもないけど、繋いでいた手は角を曲がってすぐに離した。向こうからとか、こっちからということはない。二人同時に、離すのが当然という風に離した。

 こんな二人が恋人同士なんてのは本当に笑える話で……でも、だからこそ、落ち着かない。

「……そんなに喋らない」

「ですよね」

「でも」