「はい、王み――」

 ギリッ

「(いったぁああ!!)
 うん、樹!」

 他人らしく振舞うな――

 腕から言葉が伝わった気がして、急いで訂正する。すると言い方はセーフだったのか、王宮さんは私から手を離す。

「(イッタイですよ、王宮さん!)」

「(黙れ、まだ見られてんだろ)」

 ヒソヒソ声で話していると、周りにいた女子が正気を取り戻したのか「ちょっと」とえらく逞しい声を出してくる。え、なになに怖いよ!