「俺、こいつと用事があるんで」

「え!?」
「うそお!!」
「誰!?」

 思った以上に彼女たちの眼光は鋭く、見られただけで肩が跳ね身が縮こまった。なんならこのまま逃げてしまいたかったけど、そうはさせてくれないのが王宮さんだ。

「な、彩花?」

「あやか!?」
「呼び捨て!?」

「……(え~……)」

 無表情とも、不機嫌とも違う笑顔でいきなり名前を呼ばれた。なんて二重人格なんだ!と、思わず引いてしまった。

 だけど、それも許さない王宮さん。

「そうだよな?」と私の腕を握る手に力を込める。