それから数十分。
 私たちは弁当箱を空にした。

「私お手洗い行くけど、彩花ちゃんは?」

「ん、待ってる。次小テストだし」

「分かった~」

 ヒラヒラと手を振り、時音を送り出す。
 するとタイミングよく、ブーと携帯が振動した。

「……No Name」

 開けてみると、名前のないメール。アドレスだけの、メール。
 そこには一行だけの、簡潔な内容が綴られていた。

『何か変わったこと』

「……王宮さん」

 せめて、変わったことは“あるか?”くらいは打ってほしいです。