「(痴漢、だ……痴漢だ痴漢だ!!!?)」

 生まれて十六年。痴漢なんてあったことのない私は、極めて無防備な生活を送って来た。

 と言っても、スカートの丈も膝より少し上なだけでそんなに短いはずはないのだけど……だけど、まぁ、この満員電車だ。

 停車する毎にバス内はすし詰め状態になっているし、今だって誰の手が前にあるのか分からない。下に鞄を置いたら最後、人の波にのまれてあっという間に離れ離れになるほど。

 でも、だからって……

「(それが痴漢をして良いってことにはならないけどね!?)」

 あぁ、あぁ……っ。

 すっごく、気持ち悪い……っ!

 何度も何度もお尻を上下左右動かして、本当に何が楽しいのか分からない!

「(早く、学校に着いて!)」