「……残念ながら、分かるんですよ。だって、


 私も樹が好きだから」


「~っ!!」

 もう許さない――

 彼女が振り上げた手は、そう唸っているようだった。

 スピードを落とさないまま振って来るその手は、私にとっては凶器にしかならず。かわそうにも上に乗られている以上は身動きがとれない私は、ただ身構えるしかない。ギュッと目を瞑って来るだろう痛みに備える。