「ちょっとお手洗い行ってくるね、時音は?」

「あ、私携帯見てるよ。いってらっしゃい」

「はーい」

 一人ならついでにゆっくりしていこう、王宮さんのことも考えたいし……

「時音、ちょっと遅くなるかもしれないけど心配しないでね?」

「うん。あ、次自習だって。ホラ、黒板に書いてある」

「あらら……まあほどほどに帰ってくるよ」

「わかったー」

 短い挨拶を終え、携帯一つ持って廊下に出る。昼休みの今は人通りが多く、廊下で一人静かに佇むこともできそうにない。

「(仕方ない、体育館の裏にでも行こうかな)」

 そうして一人、静かになれるところを目指したのだった。