だけど、それがまさか裏目になるとはこの時の私が知る由もなく……

「あ、彩花ちゃんごめん。ちょっとママから電話きちゃった」

「うん、いってらっしゃい」

 私がさらに追い詰められることになるとは、予想もしなかったのだった。



「あ、もしもし永人くん? ごめんねいきなり電話しちゃって。
 うん、今日の彩花ちゃんとっても機嫌がいいの。だから、話すには絶好の機会だと思う――」