王宮さんから流れてくる冷たい液体。
 それは飲まなければ口の端からどんどん垂れていってしまうし、離そうにも顔を手で固定されてしまっているから動けない。

「ふ……ん、ん〜!?」

「……」

 何を言っても、どう足掻いても離してくれない彼。なすすべなく、私は口の中に入ってきたものを飲む。

「ん、んっ」

 少し生ぬるくなっていたそれは、まるで鉛のように重く下がって行った。

「……ックン!」

「はぁ……」

「はぁ、はぁ、はぁっ」

 窒息状態みたいなものだったから、ほぼ肩で息をする。胸に手を当てると、あり得ない位に動いていた。

 反対に王宮さんを見れば、少し息が乱れている程度で……

「はぁ、はぁ…………ぇ」


 そんな彼を見て、何が起こったかを思い出すには少し時間がかかった。