すると、突如聞こえてくる女の子たちの声。

「ねえ、さっき王子いなかった?」

「え!? 知らない見てなーい!」

「もう下駄箱かな? 急ごう! 挨拶出来るかも!」

 キャーという笑い声が聞こえ、目の前を数人の女子が通る。その中の一人は、学校で美人と言われている先輩だった。

 でも、どうして隠れる必要があるの?

 人気のない所に連れて行かれるし、口を押さえられるし……ひょっとするとこの人も危ない人なんじゃないの!?

「は、離してください!」

「おい、静かにしろ」

「な、へ、ヘンタイ!
 これ以上何かすると、大声で叫びますよ!?」

 例え相手がイケメンでも、怪しければ助けを呼ぶ!

 大声を出そうと息を大きく吸い込んだ、その時―-