「だ、大丈夫です……というか、あの……」

「は? なに」

「(え、無自覚!?)」

 なんだそれは、新手の詐欺か!

 私を抱きしめることに関しては特に何も思わないのか、ずっと抱きしめて離そうとはしない。そればかりか近くにあった薄手の布団を私にかけ、ポンポンと背中を叩いた。

「(……なんか、安心するな)」

 小さい時によくお母さんにこうしてもらった。安心して、不安なんてすぐなくなっていく。今の状態は、それによく似ていた。