その後は、もう本当に一瞬だった。

 僅か一歩足らずで私たちの所に来てくれた王宮さん。

 まず掛下さんを私から引きはがし、フリーになった私を片腕でギュッと抱きしめ包み込んでくれた。

 王宮さんの中にいる――それだけで、安心感が体中に広がって行く。だけどその反動で、恐怖からくる震えが一気に押し寄せた。指の先がカタカタと無様に震えている。

「王、宮さん……っ」

「……チッ。おい、掛下」

 大きな舌打ちを一発。

 私の顔を見た王宮さんは、一気に顔を歪ませて掛下さんを睨んだ。