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「王み……樹、お友達?」

「あ」

 つい教室と同じ様に話してしまっていた。彼女役に切り替わった木下が、笑顔で俺たちのことを見ている。

「わりィ。こいつ――」

「掛下三里(かけしたみさと)でーす! いつも王子がお世話になってまーす!」

「その言い方やめろ」

「ふふ、初めまして。木下彩花です」

 流石に「彼女です」と面切って言わない木下。色々考えて言わないようにしたんだろうけど、こいつに気遣いは無用だ。