「出来た」



「ありがと」



成は、あたしの髪をおだんごにした。



女のあたしが自分でやるよりも、成にやってもらう方が可愛く仕上がるって一体どういうことよ。



ピンの使い方とか上手だしさ。



「いってきまーす」



あたしは成に連れだされ、田んぼ道を歩いていく。



「暑いよぉ~。家でダラダラ過ごしたかったのに……」



あたしが口を尖らせて言うと、成は笑顔を見せる。



「ブタ華になるぞっ」



「それまた言う!?」



あたしは成の背中に思い切りパンチをした。



「イッてぇ……折れた。絶対に骨折れた。あ~華のせいだ」



「大げさっ!どんだけ、か弱いのよ」



「アハハッ」



成は、色羽があたしを好きだってこと、知ってるのかな……?



3人で花火をしたあの日、成が砂歩のところに行ったあと。



色羽とふたりきりになって、好きって言われた。



幼なじみとしてじゃなくて、あたしを好きだって。



あたしは、色羽の初恋なんだって……そう言ってた。



成も、色羽の気持ち知ってるの……?



「ねぇ、成……」



「ん?」



「やっぱりいいや」



「なんだよぉ?」



聞きづらいな。でも……。



「成の初恋ってさ……」



あぁーっ!間違えたっ!



“色羽の初恋ってさ、誰なのか知ってたりする?”



そう聞こうとしたのに、なぜにあたしいま言い間違えた!?



バカ。あたしのバカ。