『はなちゃんは、ボクのおよめさんになるんだぞ!』



『ちがう!ボクのおよめさんっ』



あの頃、負けず嫌いだったふたりは、あたしの前でよくケンカしてた。



『ケンカはダメだってばぁ!』



あたしの声に、ふたりが同時に振り向く。



ふたりがくれた黄色のたんぽぽをぎゅっと握って、あたしは言った。



『ごめんね。はな……パパのおよめさんになるからっ!』



『……え』

『……そんなぁ』






――あの頃からもう、10年以上が経つんだね。