火葬場の外で、あたしは石段の上にひとり座っていた。
空ってこんなに青かったっけ……?
悲しいくらい綺麗な色。
「華」
成が、前から歩いてくる。
あたしいまどんな顔してるの……?
どうやって笑うんだっけ?
表情って、どうやって作るんだっけ?
いままで、どんな顔して笑ってたっけ……?
成が歩いてくる、その向こう側に、
灰色の煙が空へと上がっていくのが見える。
「い……ろ……は……?」
ねぇ……。
色羽はどこにいるの……?
どこに行っちゃったの……?
あの煙は……色羽なの……?
空に消えてしまったの……?
今日は、みんなずっと泣いてた。
あたしだけが、泣いてなかった。
人が死ぬって、こんなにあっけないものなの……?
こんなに突然。
急に目の前から、消えてしまうなんて。
信じられるわけない。
ねぇ……死ぬって、どういうこと……?
「……っ、華……っ」
「え?あ……うん」
成があたしの名前を呼んでいたことにさえ、気づかない。
あたしはいまどこにいる?
夢?
それともこれが現実?
わかんないよ。
「華……」
成はあたしの隣に座り、あたしの右手を握り締める。
空に消えてゆく煙を見つめていた。
いつも隣にいた君。
どうしていまここに君がいないの?
なんで君の姿が見えないの?
どうしてそばにいないの……?
煙が消えてゆく。
空へと消えてゆく。
音もなく。
ただ静かに――。