「お、おやすみっ」
そう言ってあたしは、寝っ転がったままくるんっと反対側を向いて、色羽に背を向けた。
あたしは胸のあたりをぎゅっと掴む。
この胸の音、色羽に聞こえてないよね……?
「華……」
後ろから聞こえる色羽の低い声に、体がビクッと動く。
「なに……?」
「……こっち向けよ」
ドキドキする。胸の奥が熱い。
「な、なんで?」
「……寂しいから」
寂しいってなに?
かわいいとか思っちゃったあたしもバカ。
あたしは寝っ転がったまま、ゆっくりと色羽の方に向く。
「向いたよ……?」
「うん」
見つめ合うあたしたち。
「一緒に寝よ」
そう言って色羽は、自分の布団をめくった。
そっちの布団に入れと……?
「バ、バカ……なにもしないって言ったじゃん」
「一緒に寝るくらい別にいーだろ?」
「ダメッ」
「じゃー俺がそっちに行く?」
「同じでしょーよ!」
「ぶはっ……華って本当からかいがいあるよな」
色羽は枕に顔をうずめて笑っている。
「からかってたの?もぉーバカっ」
ヘンに意識してるのはあたしだけだったのか。
枕に顔をうずめていた色羽は横を向き、あたしを見つめる。
「じゃー手ぇつないで寝よ」
「ちょっ……まだからかってんの?」
「いや、いまのは本気」
そう言って色羽は、あたしの布団の上に左手を差し出した。



![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)