「色羽は?」
あたしが聞くと、色羽は頭を掻きながら答えた。
「あー俺?……保育士」
「うっそ!それまた意外っ」
驚くあたしと違って、そんなには驚いていない様子の成。
「色羽は、なにげに子供とか好きだもんなぁ~」
そう言われて見ると、成の言うとおりだ。
公園でたまに子供たちとバスケしたり、
前に近所に住む人が出産して、3人でおうちに赤ちゃんを見に行ったときも、色羽の赤ちゃん見る顔がすごく優しくて。
あたしたちには見せたことない顔してたっけな。
「そーいえば、そーだね。色羽って赤ちゃんとか小さな子供には優しかったね」
「なんか華、トゲのある言い方だな。おまえらにも優しいだろ?」
「ふふっ。まーね」
色羽も、ちゃんと考えてたんだ。
成や色羽と高校に入ってから進路の話なんてまともに話したことなかったから、ふたりが将来のことをちゃんとマジメに考えてるなんて、ちっとも知らなかった。
あたしだけか。
進路も将来の夢も、まともに考えてなかったのって。
まだまだ先のことだと思ってたけど、もうちゃんと考えなきゃいけない時期になってきたんだ。
しかも進路調査の紙、明日の朝が提出期限とか。
あ~ホント焦る。だって何も浮かばない。
「華は?」
成が聞くから、あたしは正直に答えた。
「うん……まだ決まってない……。とりあえず進学はするつもりだけど」
「そっか。でもまだ2年だしな。焦って決めなくてもいいんじゃん?」
「……うん」
でも。
ふたりが決まってるのに、焦らないわけないよ。
進路調査の紙、適当に書いたら担任に怒られるよね。
職員室に呼び出されるのもめんどくさいし。
あ~どうしよう。
朝までに考えなくちゃいけないなんて。



![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)