この時期に見ることができるふたご座流星群。
夜空には、無数の星。
まだ探しても流れ星は見つからない。
川原に着いたあたしたちは、
首に巻いていたマフラーを草の上に置いて、それを枕の代わりにして3人並んで寝っ転がった。
あたしの右側には色羽。左側には成。
吐く息は白く、空へと一瞬で消えていく。
自販機で買ったホットコーヒーの缶を3人とも頬にあてていた。
「星いっぱいだね~」
無数に輝く星。それでもオリオン座がはっきりとわかる。
「ホント、この景色見るとこの町に生まれてよかったって思う」
夜空を見上げたまま、成がつぶやいた。
成のどこか寂しそうな横顔をあたしは見つめる。
「成さぁ、毎年のように流星群見に行くって騒いでるけど……おまえって、そんなに星とか好きだったっけ?」
色羽が聞くと、成は少し黙ったあとで言った。
「……俺じゃなくて、琉生が好きだった」
琉生(るい)は、成の7歳年下の弟。
成が中学生になる前に、成の両親は離婚した。
成のお父さんは、弟の琉生を連れて遠く離れた都会に引っ越した。
「親が離婚する前さ、星が好きで流れ星がみたいって言った琉生をここに連れてきた。それが琉生と俺がふたりで過ごした最後で、琉生の笑った顔を見たのも最後……」
「琉生、元気にしてるの?」
あたしが聞くと、成は息を大きく吐き出す。
「親父が言うには、元気だって。琉生は俺と話したくないみたいでさ。電話にも出てくれない。まぁ、憎まれてあたりまえだよなぁ」



![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)