俺は泣いてる華を抱き寄せる。



「……俺んとこ……くればいいじゃん……」



「……そんなことできないよ」



「成を好きなのは仕方ねぇよ。でも俺だってここにいる。おまえのこと想ってる」



「色羽……」



「だから、少しでいいから……俺のことも見ようとしてくれよ」



俺だって、いつもおまえのそばにいるんだ。



ずっと前から、おまえだけを。



おまえのことだけを見てんだよ。



「離して、色羽……」



俺は、いっそう華の体を強く抱き締める。



俺を幼なじみ以上の存在として見てくれよ。



たった一度だけでも。



一瞬だけでもいいから……。



「成のことでこれ以上もう傷ついたりすんな」



「……うぅっ……っく……」



泣いてる華を見てるのは……俺だってつらいんだ……。



もうたくさん悲しい思いしただろ……?



苦しんで泣くなよ。傷つくなよ。



頼むから。



華が泣くたびに抱きしめたくなる。



守ってやりたくなる。



「つらいなら……俺んとこくればいいじゃん……。成に気持ち残したままでもいい……」



俺がいっぱい愛すよ。



成への気持ちが消えるくらい、俺が華のこと想うから。



いつかきっと、忘れさせてやるから。



「華……好きだよ……」



届かなくて、苦しくて。



それでも諦められない。



幸せにしてやりたいって……そう思うから。