倒れこんできたあたしを成は咄嗟に受け止めてくれた。
あおむけになった成の胸元に、あたしは顔をくっつけたまま、この状況を瞬時に理解する。
「ご、ごめんね、成……」
あたしが顔を上げて、成の体から離れようとすると、
成は、あたしの体をぎゅっと抱きしめた。
え……?なに……?
成の両腕の力が強くて……動けない……。
成の胸元に耳をあてたまま、あたしは何度もまばたきをする。
成の心臓の音が聞こえる。
ねぇ、成……。
胸が張り裂けそうだよ……。
「……成……?」
あたしが小さな声で言うと、成は腕の力を緩めた。
「華……重たい」
「え?あ、ごめん……」
慌てて起き上がって成の体から離れると、成はゆっくりと腰をさすりながら起き上がった。
「イテテ……」
「大丈夫?成」
「うん。華は?どっかケガしてない?」
「うん。大丈夫……」
あたしの勘違い?
成の体から離れようとしたら、ぎゅって抱きしめられた気がしたんだけど。
勘違いじゃないよね?
でも、なんでそんなことしたの……?
どうしよう。
成の顔を見れない。
成は、いまどんな気持ちでいるの?
なんであたしを抱き締めたの……?
「成ー?」
その時、向こうから声が聞こえた。
この声……。



![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)