「砂歩……」



あたしは砂歩の体をぎゅっと抱きしめる。



「どうしたの?華……」



砂歩が学校を休んでる間、いろんな言葉を考えたのに。



結局、なんも言えない。



どんな言葉も慰めにならないような気がして。



「砂歩がつらい時に……なにも出来なくてごめんね」



「そんなことないよ、華」



砂歩はやっぱり笑顔を見せるんだね。



「向こうに行ってるとき、夜とかあんまり眠れなくてさ。でも華がメールくれたり電話してくれたから、なんか心強かったよ」



「砂歩……。つらかったら、いつでも話とか聞くからね?」



砂歩はコクンと頷いた。



「あたしに出来ること、何かない?」



「……普段どおりにしてくれたら、いまはそれが落ち着くかも」



そっか。そうなんだ。



「うん、わかった!」



「ありがとね、華」



体を離して、あたしたちは微笑み合う。



あたしがいま砂歩に出来るのは、



普段と同じようにおしゃべりをしたり、くだらない話で盛り上がったり。



そうやって、



一緒に笑ったりすることなのかもしれない。