ケータイの画面を見つめる成。
砂歩からの電話かな……。
「気にしないで電話出ていいよ?砂歩でしょ?」
「あ、うん」
「早く出ないと切れちゃうよ?」
「じゃ、ごめん出る。華、ここにいろよ?危ないからひとりで動くなよ?」
「うん、わかってる」
成は立ち上がって電話に出ると、あたしから少し離れたところに移動した。
やっぱりあたしの隣では、話してくれない。
成の後ろ姿は見えるけど、なにをしゃべってるかなんて全然聞こえない。
でも隣で話されたら、それはそれで悲しい気持ちになるんだろうな。
聞きたいけど、聞きたくない。
そんな矛盾した気持ち。
結局、どっちでも傷つくんじゃん、あたし。
砂歩のおばあちゃん、大丈夫なのかな。
つらくて、成に電話してきたのかな。
つらい時、寂しい時、砂歩がいちばんに頼るのは、あたしじゃなくて成なんだろうな……。
成の背中を見つめた。
あたしと一緒にいても、成はあたしのことじゃなくて、きっと砂歩のこと考えてるんだよね……?
頑張って浴衣を着てみたって、なにも変わらないのに。
成とあたしは、幼なじみのままなのに。
なにやってんだろう、あたし。
夏祭りだって、浮かれて浴衣着て。
成に可愛いって思われたくて必死で……どんな髪型にしようかとか雑誌みたりして考えて。
本当バカみたい。
あたしたちは何も変わらないんだよ。
ねぇ、成。
もしも……
あたしがいまここからいなくなったら、
成はどうする……?



![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)