「お前、彼氏いたことないだろ。」


う……図星。

「な、なんで決めつけるのさ。」

「じゃあいたことあんの?」

「……ないけど。悪い!?」


「別に。……ますますお前からキスさせたくなった。」


ニヤッと口角を上げる王子は悔しいほどかっこよくて、一瞬惑わされそうになる。

だけど……


「す、好きでもないのに、そんな事しないから!!」


なんでそこまであたしにちょっかいを出すのかわからない。

女の子なんてより取り見取りだろうに。


「へー、お前が俺のこと好きになればいいんだ。楽しみ。」



「ち、ちがっ……絶っっっっっ対ないから!!」



あたしの叫び声は夜の住宅に響き渡ったのだった。