すると、王子はニッコリ笑って

「よくできましたー」

なんて言って、あたしの頭をワシャワシャ撫でた。



「噛みすぎだし。真っ赤になっちゃって、かーわいい。」


“かわいい”

その一言で、あたしの顔はさらに赤くなった事は言うまでもない。



「ほ……ほら、シチュー冷めちゃうから戻って!」



でも、“かわいい”なんて王子はきっと誰にでも言えてしまうんだ。


こんなにも顔が火照っているのは、
きっと、この至近距離で男子と話したのが初めてだったから。


そうだ、きっと。


この笑顔にときめいたからじゃない。