彼女の仕事ぶりで何より感心したのは電話を取るその早さだ。

それはもう「早押しクイズか???」というスピードで、たいていはワンコール鳴り終わるより早く電話を取っている。

どうしても手が空かずに取るのが遅れたときは「お待たせしました」と必ず一言添えて出る。

もっとも、遅れるといっても決してたいした遅れではないのだが。

前の秘書は電話を取るのが遅く、呼び出し音が部屋に鳴りつづけるということが多々あった。

その状況は実に耐え難く、イライラを増幅させ神経を逆撫でした。

デスクワークをわざわざ実験室でするようになったのは、それが大きな原因だった。

しかしながら、今の居室はそんなイライラとは無縁だ。

気持ちよく仕事をする人が整えてくれる空間は、本当に心地よく意欲も癒しも与えてくれる。