グッバイ・メロディー



あわててすべてを取り上げ、キッチンへ退散した。

ものすごく不服そうな顔をされたけど、こうちゃんが病気になってしまうよりぜんぜんマシだよ。


いくら太らないからといって油断は禁物。

むしろ見た目に出ないほうがコワイんだから!


シンクでじゃぶじゃぶマグカップを洗っていると、歯みがきを済ませたこうちゃんがうしろから寄ってきて、高い背を丸めながらわたしの肩に顔をうずめた。


きょうはマックス甘えんぼうの日なのかもしれない。

相当疲れているみたいだし、しょうがないか。


「どうしたの」

「きょう一緒に寝る」


くぐもった声が寄りかかるように言った。


「しょうがないなあ」

「ん、チョコうまかった。もっと食べたい」

「残り半分はあしたね」

「あさっては?」

「あさってはもう16日ですよ?」


こうちゃんはなにも答えないで、わたしの肩でフリーズ状態。

ぴくりとも動かないのは、そんなものなど知らぬという無言の主張だな。


かまわず食器をチャッチャと片付けていく。

棚の少し高い位置にしまってあるこうちゃんのマグカップ、背伸びをしたらぜんぜん届くのに、そうしようとしたら長い指にひょいっと奪われてしまった。


「こうちゃん、大きくなったんだねえ」

「とっくの昔に」


そうは言ってもこうちゃんって昔は小柄で、身長も中2の夏ごろまではぎりぎりわたしのほうが高かった気がするよ。

いつのまに追い抜かされて、こんなに差がついていたんだろ。

あんなに小さかったこうちゃんも、いまでは178センチのスタイル抜群男子になってしまった。

あまいたまごやきの4人のなかでもいちばんの高身長だと思う。