「ね、これから彼と会うの?」
「そう。きょうは授業が6時過ぎまであるらしいから、逆に季沙にいっしょにいてもらえて助かったあ」
そんな時間まで授業があるなんて、大学生は大変だな。
この時期の夕方の6時といったら、もう陽が落ちてすっかり暗くなっているというのに。
そして、そんな時間から、はなちゃんはデートをするんだな。
いつもより少しだけ鮮やかに赤く染まっているくちびるを横目に、ふたりはこれからどんなふうにいっしょに過ごすんだろうと、変にどきどきしてしまった。
「コレ買うのにまでつきあわせてホントごめん! ていうか当日に買うなよって感じだよね」
「ぜーんぜん! ああいうチョコの催事場みたいなの行ったことなかったから、見てるだけですごい楽しかったよ」
いろんなブランドのいろんな色のいろんな形のチョコレートが、見えないくらい先までショーケースにずらっと並んでいる景色は圧巻だった。
会場中甘い香りで満たされて、そこにいるだけで幸せな気持ちになるの。
こうちゃんならきっと一生帰りたがらないね。
「ところで季沙はなにも買わなくてよかった?」
「うん、わたしはもう用意しちゃったから」
どうせ渡すのなんてお父さんとこうちゃんにだけだし、そのふたりには毎年手作りをしていて、今年の分はもう昨夜のうちに作って置いてあるのだ。
ウチの冷蔵庫のなかに眠っている、
ブラウニーがお父さんの、ガトーショコラがこうちゃんの。
ハート形の4号サイズはこうちゃんのなかで譲れないらしいから、ここ何年かはもうずっとこれ。
飽きないのかそろそろ心配だ。



