「じゃあやっぱ1社ずつ話聞こう。俺もこんなメールだけで判断できない」
バラバラと散らばっている紙を重ね、角を全部ぴったり合わせると、こうちゃんはそれらをもとの透明のクリアファイルのなかにあっさり戻してしまった。
そして、エレ吉くんの入ったギグバッグのいちばん外側のポケットにするりと忍ばせる。
最高機密文書の入ったギターケースが、いつもより神聖なものに見えてきてしまう。
また連絡する、とこうちゃんは区切りをつけるように言った。
どこか重たい感じの声で、はっとした。
そろそろ帰ってごはんを食べさせてお風呂に入ってもらわないと、なんにもしないまま朝までノンストップでぐーすか寝ちゃうんだ、こうちゃんって。
夜も弱いけど朝も激弱だから、そんなことになったら大変だ。
それにしたってわたしはいま目がギンギンに冴えていて、今夜ちゃんと眠れるかどうかさえ心配だというのにな。
どうしてこうも冷静なんだろう。
なんで、いつもとなにも変わらないんだろう。
もしかしたらこうちゃんにとってこんな展開は予想の範囲内で、当たり前のことだったりするのかな。
もしそうなら、こうちゃんってすでに大物だ。



