「では」と仕切り直すように、トシくんがまさに最年長という口ぶりで言った。
定期考査ではいつもだいたいトップにいる彼は、学校生活の態度もとても優良で、後輩のわたしから見ても本当にまじめな生徒だ。
特に先生たちからはすごく気に入られていると思う。
わたしたちの入学式で、上級生代表としてスピーチをしてくれたのもこの人だった。
完璧に無敵なお話に聞きほれていたら、最後に壇上でふっと優しく微笑んでくれて、それがさながら王子様みたいで。
あのはなちゃんですら、そう言っていたよ。
ていうか、女子みんな、入学式のあとは皆川俊明先輩の話題で持ちきりだった。
そんな人が重低音なベースを弾くなんて。
超絶クールな演奏をするなんて。
そのすぐ翌日、新入生歓迎会で見た軽音楽部の演奏。
ステージ上のベーシストが、あのスピーチの王子様と同一人物だってことに、ほとんど誰も、しばらく気づいていなかったと思う。
「まあ予想通りの流れになったというか、大まかな方向性はわりとすんなり決まってよかったけど、この4枚の紙をどうするのかをちゃんと話し合わないとな」
さっき自分の手で扇形にしたそれらを、今度は几帳面にまっすぐ、等間隔にならべていく。
むこうを向いたのが2枚。
こっちを向いたのが2枚。



