そしてすぐに3人は収集された。
最高のボーカルと、最高のドラマーと、最高のベーシスト。
何気ないつぶやきから1週間も経たないうちのことだったから、こうちゃんはきっとはじめから、この3人といっしょにやるって決めていたんだと思う。
なんでバンドを組もうと思ったのかというのは、いまだにこうちゃんから明確な答えをもらえていない。
いつもなんかうまいことはぐらかされるの。
なんとなくだって、逃げるみたいに言われる。
でも“なんとなく”なわけない。
こうちゃんは絶対、そんな曖昧な気持ちで、ギターを抱えない。
「3人がそのつもりなら、断る理由はない」
凛とした声だった。
なぜか、じわあっと涙腺が緩んでいく。
こうちゃんの決意みたいなもの、だけどみんなの気持ちをいちばんに尊重したいという想い、じかに心に伝わってくるみたいだよ。
こうちゃんは本当に、あまいたまごやきが大切なんだね。
アキくんとヒロくんとトシくんが、とてもとても、大切なんだね。
彼がこんなふうに思えるなにかが、この世界に残っていてくれてよかった。
こうちゃんはきっと闇のなかに消えたりしない。
ずっとここにいて、みんなといっしょにいて、優しい音楽を鳴らし続けてくれるって、いまは確信できる。
「じゃー、決まりだな!」
アキくんがうれしそうにニッと笑って声を上げた。
こういうとき、いつもこんなふうに取りまとめてくれるのは、やっぱり不動のフロントマンだ。頼もしい。



