グッバイ・メロディー



「こうちゃん」


ごめんね、と言おうとしたのに、それはいつもの元気すぎる声に遮られてしまった。


「お、洸介と季沙はっけーん!」


光を帯びているようなキラキラボイス。

アキくんはしゃべり声と歌声がぜんぜん違うのに、そのどちらもが、彼のすべてを体現するように輝いている。


ふり返るとアキくんとヒロくんとトシくんが勢ぞろいで驚いた。

店の前で合致したんだって。
みんな学校が違うのにすごい偶然だ。


3人がそれぞれ挨拶をすると、脇坂さんはついさっきこうちゃんに問いかけたのと同じように「動画すげえ広がってるな」と笑った。

そういえば年明け一発目のスタ練だから、この話題をみんなで共有するのはこれがはじめてだ。


「いやマジ、それな?」


脇坂さんでなく、メンバー3人にむかってアキくんが言った。


「やばくねえ?」

「アキってなんに対してもだいたい『ヤバイ』で片づけるよな」


トシくんがくすくす笑う。アキくんがうるせーと答える。
ヒロくんは興味なさそうにスマホをいじっていて(手の動きからしてたぶんゲームだと思う)、こうちゃんはやっぱりずっとダンマリだ。


「つーか、これからどーなんの?」


アキくんがおどけて質問した。


「オレら有名人じゃん? どーなんの?」


すぐ隣にあったこうちゃんの右手がぴくりと動いて、わたしの左手にこつんとぶつかった。


「どうなる、じゃなくて、どうしたい、じゃねえの?」


カウンターに肘をつき、高い背を丸めるみたいにして、脇坂さんが頬杖をつく。

その瞳はまるでこうちゃんたちを試すように鋭く光っていた。


「俺はきっかけを作ってやっただけだよ。これからどうすんのかは、ぜーんぶおまえら次第」