グッバイ・メロディー



『まだ子どもには違いないけど、小さい街で安っぽい対バンさせとくにはちょっともったいないな』


関谷さんが投稿した動画には、そうコメントが添えられていた。

それを見たらどきどきが本当に止まらなくなってしまった。


「どうする? 瀬名くんたち、そのうちホントにデビューしちゃうかもよ?」


心の片隅にぽんと生まれた予感を、わたしのかわりにはなちゃんが口にしてくれる。


じんと心臓がしびれた。

冷たかった手に熱がごうごう送られていく。


頬の筋肉が、緊張しているような、緩んでいるような、変な感じがする。


「どうしよう!」


声を上げたらほかのクラスメートたちが集まってきた。
そうしてこうちゃんのことをいろいろ聞かれた。

みんな冬休みのうちに例の動画を見たみたい。
ライブ行ったよ、と言ってくれるコもいた。


わたしでさえこんな調子なんだから、こうちゃんもいまごろ自分のクラスでスゴイ質問攻めにあっていそうだ。

大丈夫かな。


下の階にいるトシくんはきっとうまいこと立ちまわっているだろうな。

アキくんは、ヒロくんは、どうだろう。


新学期だというのに早く放課後になってほしいと思った。


こうちゃんと話したい。

すごいねって、この感動を共有したい。