「あと1分だってよー!」
ぐだぐだしゃべっているとアキくんが近寄ってきた。
神社にいる人たちみんなでカウントダウンをして新しい年を迎えるのは、お祭りみたいですごく楽しい!
「あけましておめでとうっ。今年もよろしくお願いします!」
「あけましておめでとう。よろしくお願いします」
年越しの瞬間にこうちゃんと頭を下げあうのは新年最初の決まりごと。
いつもは家でのんびりまったり過ごしているのに今年は違う場所だから、ちょっと新鮮な感じがする。
たまには、こんなのもいいな。
せっかくなのでみんなでおみくじを引きに行ったら、こうちゃんだけが大吉だった。
みちるちゃんとトシくんが中吉で、アキくんとヒロくんが吉みたい。
「わたしは末吉だあ……」
「なに書いてあった?」
それぞれ引き当てた運勢についてあーだこーだ言っているなか、ただひとり大吉のこうちゃんはぜんぜん自分のには興味なさそうにして、わたしのおみくじばっかり食い入るように読んでいる。
「どう? びみょう?」
「んー」
イエスでもノーでもなさそうに唸ると、きれいな指がそのままおみくじを縦に四つ折りにし、ササッと結んでしまった。
そして、その上から自分の大吉を包みこむようにして結び、こうちゃんは満足そうにうなずいたのだった。
「これで大丈夫」
ふたつ重なったわたしたちの運勢は、まるで手をつないでいるみたいな形。
こうちゃんといっしょにいると元気になれるのは、いつもこうしてそっとパワーを分けてくれているからなんだ、って。
わたしたちをぎゅっと凝縮したようなおみくじを見ていたらなんとなくそう思って、お腹の真ん中あたりがじんわりあったかくなった。



