「おれは」
うんと低くなった声、落ち着いたしゃべり方に追いついたなあ、と思う。
ヒロくんは言葉を選ぶように一度黙りこむと、再びゆっくりと口を開いた。
「おれ、春から東京の高校に編入することにしたので。決めたからには学校とバンド両立して、ちゃんと高校卒業する。いちばん年下だからって絶対甘えないし、誰にもバカにさせたくない……と、思います」
相変わらず淡々とした語り口だけど、その目にはもういっさいの迷いがないように見えた。
年下とは思えないくらい、ちゃんと自分の考えを持っていて、そのために行動できる素敵な男の子。
あまり見せてくれない貴重な笑顔は年相応で、とてもかわいいこと、知っているのはきっとわたしだけじゃないと思う。
ひとりでぜんぶ抱えてがんばってしまいがちなヒロくんが、甘えないと言いきらないで、そうできる場所を新しい生活のなかで見つけられたらいいな。
それとも、たまには3人の頼もしいお兄ちゃんたちに甘えてあげたら、きっとみんな喜ぶんじゃないかな。



