3曲やりきるころには彼らもわたしたちもへとへとになっていた。
いっさい顔色が変わらないのは、壁にもたれかかって後輩たちを見守っていたお兄さんふたりだけ。
「お疲れさん。じゃ、最後に決意表明でもしとけば?」
脇坂さんがにやりと口角を上げる。
関谷さんが隣でくつくつ笑う。
「東京へ行くにあたって、なんにもないわけじゃねえだろ? 口にしとけばなんでも叶うかもしんねえぞ」
一段高い位置にいる4人が顔を見合わせ、勘弁してくれ、というふうに脱力しているのが見てとれる。
だけどこれはもはや脇坂さんが許してくれなさそうな雰囲気だ。
半分は、いや半分以上、おもしろがっているのだろうけど。
先陣を切ったのはやはりアキくんだった。
もう勢いって感じのやけくそな顔。
「オレは東京行ってでっかくなって、みちるさんを世界一幸せにします!」
それでも、それは、どこまでも真剣な言葉に聞こえた。
「だから、安心してついてきてください」
すぐ左にいるみちるちゃんがやれやれとため息をつく。
眉が嫌そうにしかめられている。
だけど、真紅に染まった色っぽい口元は、たしかに小さく笑っていた。
「ついていかないよ」
みちるちゃんはきっぱりと言いきった。



