――これはまさか、もしかして。
「しょうがねえから、お騒がせ幼なじみバカップルのために仕切り直してやる」
今度はマイクを通してアキくんが言った。
聞き流すところだったけど、いまとても酷いニックネームで呼ばれた気がする。
「洸介がはじめて本番でミスった記念! こいつにとっては季沙の一挙手一投足が事件なんだよ。マジでこっちまで影響あんの、ちゃんと自覚しとけ。あんまりいじめてやるなよ?」
黙ってペグを回していたこうちゃんが、ものすごく嫌そうな顔をした。
よけいなこと言わなくていい、
といういつもの声、きょうに限ってはお客さんがいないから、マイクを通さずともよく聞こえてくる。
ふと、ヒロくんがくるりとスティックを軽快に回すのが視界の端っこに見えた。
出会ったころは幼い少年だったはずの男の子の、あまりにもかっこよすぎる成長っぷりにどぎまぎしている暇もないうちに、爆音が鼓膜を殴ったのだった。
突然うしろからむぎゅっと抱きつかれる。
みちるちゃんに続いて、衣美梨ちゃんとはなちゃんも走ってやって来て、4人くっついたままフロアをぴょこぴょこ飛び跳ねた。



