だけど、それでもぜんぜんいい、と思う。
きっと、そうでなくとも、わたしはこうちゃんを好きになっていたと思うけど。
やっぱりわたしは、ギタリストのこうちゃんがなによりも、誰よりも、いちばん大好きだから。
おまけみたいにまだほろほろと出てくる残りの涙を、こうちゃんの指がひとつずつ拾った。
「あんまり泣いてると強制的に東京に連れていくけど」
「う……もう泣かない」
「うん。泣いてもいいけど、俺が傍にいるときだけって約束して」
「はい。約束します」
小指どうしが絡んだ。
指きりげんまんをするのなんて何年ぶりだろう。
前にこうちゃんとこうしたときは、いったいなにを約束して、小指を組んだんだっけな。
もう忘れてしまっているくらい、遠い昔の記憶。
「――洸介、来いよ」
いきなり、キラキラ輝くような声が少し高い場所から落ちてきた。
とっさに顔を上げると、いつのまにかすぐ目の前のステージの上に移動していたアキくんが、身をかがめてこっちを覗きこんでいた。
はっとしてあたりを見渡す。
脇坂さんと関谷さんが、会場の端っこにならんでにやにやしている。
その隣でみちるちゃんがあきれたように笑って、衣美梨ちゃんがいまにも泣きそうに眉を下げていた。
はなちゃんはちょっと怒ったみたいな顔をしている。
ステージに視線を戻すと、撤収されていたはずの機材が再び繋がっていた。
下手にトシくんが、後方にヒロくんが、もう準備万端で待機している。
こうちゃんがステージに上がった。
おもむろにケースからエレ吉くんを取り出し、アンプに繋げる。



