「季沙ちゃんもお疲れさま。きょうも突き抜けてカワイイねー」
カワイイは挨拶がわりの言葉で、顔を合わせるといつもこれ。
最初のうちは一生懸命受け答えしていたけど、反応をおもしろがっているだけだってわかったから、最近はもう黙っている。
「こらこら、マジよ? 俺がひと回り若かったら本気で口説きにいってたと思うわー」
“バンドマンはチャラい”という都市伝説、あまいたまごやきが対バンをするようになって、脇坂さんやほかのバンドの人と交流していくうちに、決して都市伝説なんかじゃないと実感した。
ほんとにチャラい!
アキくんもちょっとそんな感じがするけど、種類もレベルもぜんぜん違う。
「ワキ、そろそろブッコロされんじゃない? 誰にとは言わないけど」
みちるちゃんがあきれたように言った。
やべーって、脇坂さんがくつくつと笑う。
このふたりといるといつも子ども扱いばかりされる。
ろくに反応もできずに曖昧に笑うしかないわたしは、ふたりにとってきっと本当に子どもなんだろうけど。
ああ、こうちゃん、早く迎えに来てくれないかな。



