「こうちゃん……?」
「……でも、やっぱりきついかも」
「え……」
「ほんとは俺のほうがさみしい。季沙のこと小さくして、ポケットに入れて連れていきたい。季沙の気持ち、ちゃんとわかってるけど、勝手に東京に行くのは俺だけど……それでも、耐えられないかも」
ゆっくり、くちびるが合わさった。
「季沙、好き」
「こ、こうちゃん……」
「世界でいちばん大切に思ってる。季沙以上に大事なものなんて絶対ない」
なんでこんなに心臓が破裂しそうなの。
どくどく、どくどく、脈打っているのが頭にまで響いてくるみたい。
まさか、こうちゃんがこんなふうに言ってくれるなんて思わなかった。
ちょっと、びっくりした。
「わ、わたしもね!」
「いい」
「へ……?」
「なんにも言わなくていい」
もういちど、くちびるが重なる。
触れているところからどうしようもなくこうちゃんの不安が流れこんできて、いっしょに切なくなってしまった。
不安なのはわたしだけじゃない。
こうちゃんも同じくらい不安に思っていて、こんなふうにさみしいと素直にぶつけてくれて。
いつもよけいなことはなにも言わないこうちゃんの言葉、全身が震えるほどうれしかった。
いとしい、が抑えきれないくらいにこみあげて、お腹のいちばん下がぎゅっと苦しくなる。



