「でも、やりたいことって、考えれば考えるほどわからなくなるんだよ……」
「季沙はまじめだねえ」
ストローでクリームソーダをぐるぐるかきまわしているわたしに、みちるちゃんが笑った。
「いまどき大学なんて、なんとなく行くもんなんじゃないの? なんとなく行ける大学に行って、なんとなく就職して。夢があるほうがめずらしい気がするけど」
「そうなのかなあ」
「高校中退のあたしからしてみれば、それでもすごいことに思えるけどね」
なんとなく、か。
でも、実際、そういう人だって少なくないのかもしれない。
明確な目標や夢を持って大学に進学する人が、世の中にいったい何人いるんだろう。
それってどれくらいの割合なんだろう。
なんとなく大学に行って、なんとなく就職する。
きっと、それもぜんぜん悪いことじゃない。
でも、あんなにかっこいいこうちゃんをずっと隣で見てきたから、わたしも欲しいと思ってしまうのだ。
“なにか”。
わたしにしかない、たったひとつの宝物を。
たとえば、そう。
こうちゃんにギターがあるように。



