花火は本当にきれいだった。
どこまでも広がる黒のキャンパスに咲き乱れる、色とりどりの輝きを見上げていると、なんだかどうしようもなく泣きそうになって、思わずこうちゃんの手を強く握った。
そういえば、昔はドンドン鳴るこの大きな音が怖くて、こうちゃんにしがみついて泣いていたっけな。
こうちゃんはそんなわたしの隣で、相変わらずのポーカーフェイスを1ミリも崩さないままで。
そういうこうちゃんが傍にいてくれたから、わたしはいつも安心して、めそめそ泣けていたんだよ。
不思議。
あれから何年もたって、こうちゃんの背がわたしよりもうんと大きくなって。
まさかいま、ふたりの関係が変わって、こんなふうに手をつないで花火を見ているなんて、想像すらしていなかった。
だけど、心のどこかでかすかに予感していたようにも思う。
いつかこうちゃんを好きになること、わたしはずっと昔から、もう知っていた気がする。
「線香花火しよう」
夜空に残された煙が宇宙に吸いこまれて、屋台の灯りもちらほら消えはじめたころ。
ふたり並んでゆっくり家路をたどっている途中で、こうちゃんがいきなり変なことを言いだした。



