グッバイ・メロディー



「ね、似合うかな? わたしにはちょっと大人っぽすぎるかなあって思ったんだけど」

「季沙はなに着ても似合うけど」

「ま、またそういうことを……」

「かわいい」


こうちゃんはずるい男の子だ。

そういう恥ずかしいせりふを、さらっとふつうの顔で言っちゃうんだから。


いつまでたってもぜんぜん慣れない。

いつも、わたしばっかり顔が赤い。


こうちゃんも浴衣を着ればいいのに、面倒だと言って、これまでに一度も着てくれたことがないな。

今年はなんとしても着てほしいと思っていたのだけど。


ぜったい似合うもん。

こうちゃんがわたしにそう言ってくれるように、自分だって、なにを着てもかっこいいに決まっている。


来年は着てもらおう、とひそかに決意してすぐ、来年はどこで花火を見るんだろう、いっしょに見られるのかな、と、胸のいちばん奥が少しだけしくしくした。