グッバイ・メロディー




西の地平線がいまにも太陽を飲みこもうとしているころ、そろそろ通い慣れてきたライブハウス“ミスターグリッター”に行くと、すでにオープンしているゲートの隣にはよく見知った4人がいた。


「ほんとに音源売ってんじゃん!」


わたしが声を上げるより先に、みちるちゃんが興奮したように言った。

なんだか嘘みたいにさえ思える光景は本当に感動的で、ちょっと近寄りがたくすらもあって、しばらくじっと見入ってしまう。


すごい。

あまいたまごやきのCDを買ってくれる人が、いま目の前に、本当にいるんだ。


買っていくのは同年代くらいの女の子が多かった。

なかには学校で見かけたことのある同級生とか、トシくんの友達らしき高校の先輩、ヒロくんと同い年の、中学の後輩なんかもいる。


なかでもアキくんは本当にすごかったよ!

高校に入ってからの同級生や先輩、中学のころの同級生や先輩や後輩、バイト先の友達……、アキくんに会いに来た全員のことを、誰ひとり間違えずにちゃんと名前で呼ぶんだもん。

はじめましての相手には「名前教えて!」と無邪気に笑い、次の瞬間には、長年の友達みたいな感じで仲良くしゃべっている。


こんな芸当はアキくんにしかできない。
彼は本当に天性の人たらしだ。


だからこそフロントマンにしたんだってこうちゃんが前に言っていたけど、顔もかっこよくて中身もこれじゃ、誰も文句はつけられないね。
くわえて、歌もメチャクチャ上手だし。