これ以上一緒にいられなくなったら。
それどころか、物理的に距離が開いてしまったら。
俺はもしかしたら大げさじゃなく、本当にもう、死んでしまうかもしれない。
バンドを始めて、たくさんの貴重なチャンス(関谷さんの言葉を借りるなら“縁”というものだ)とめぐり会ってから、こんなふうに季沙と一緒に過ごせる時間というのはずいぶん減った。
少し前までは、目が覚めて眠りにつくまで、まあ24時間とはさすがに言えないが、365日欠かさずに一日の大半を季沙と共に過ごしていたというのに。
それがいまではたぶん、半分くらいだ。
そのせいで怒らせたことや悲しませたことだって少なくない。
去年の夏祭りが最たる例で、あんなにすねられるとは思っていなかったから本当に反省したんだ。
恋人という明確な関係になってからは季沙が素直にさみしそうにするものだから、俺もつられてさみしくなる。
いや、最初からきっと、俺のほうがずっとさみしく思っている。
バンドのために、やりたいことをやるために、季沙とこれ以上離れるなんて考えられない。
季沙と離れることにしてまでギターを弾く理由が、たぶん、俺のなかにはない。
「こうちゃん、どうしたの。なんか変だよ」
手放したくない。
このままずっと、傍にいてほしい。



