⋆°。♬
「どうしよう……」
進路希望調査用紙
と書かれたA5サイズの紙きれと、腕のなかにいる季沙は奮闘しているみたいだった。
「卒業したあとのことなんてぜんぜん考えてなかった……」
いつも周りの誰かのことばかり心配しているせいか、昔から自分のことは二の次になりがちだと思う。
天然というか、抜けているというか、なんというか。
端的に言うと、けっこう、ぼけている。
ボールペンを握りしめ、用紙とにらめっこを始めて、かれこれ30分くらい経つんじゃないのか。
仕方ないので季沙の分の数学の課題をきょうは俺が解いてやっている。
字体はまったく違うけど、提出する必要はないらしいし特に問題はないだろう。
「こうちゃんは進路決まってていいな。ずるい」
そういう俺にもしっかり進路ナンチャラは配られてきたが。
わりとちゃんとした進学校なので、第一希望から第三希望まで記入できるのは大学名のみらしく、その点に関しては俺もいま詰んでいるところだ。
あした、3年になって新たに決まった担任の元へ話をしに行こうと思っている。
去年トシのクラスを受け持っていた人だからすんなりいきそうではあるのだけど。
「とりあえずてきとうでいいかな? 最終決定じゃないもんね。まだ4月だもんね」
「いいんじゃない」
「うん、じゃあ、そうしよ! また今度ゆっくり考えようっと」
そう言った季沙はさらさらと3つ、ためらいもせずに大学名を書き連ねていった。
そうして仕上がった進路ナンチャラを見て思わず絶句した。
全部、地元の大学だ。
ノートに数式を書きかけていた手が止まってしまう。
なんとなく答えを導きだせそうだったのが一瞬で吹っ飛んだ。
「どうしよう……」
進路希望調査用紙
と書かれたA5サイズの紙きれと、腕のなかにいる季沙は奮闘しているみたいだった。
「卒業したあとのことなんてぜんぜん考えてなかった……」
いつも周りの誰かのことばかり心配しているせいか、昔から自分のことは二の次になりがちだと思う。
天然というか、抜けているというか、なんというか。
端的に言うと、けっこう、ぼけている。
ボールペンを握りしめ、用紙とにらめっこを始めて、かれこれ30分くらい経つんじゃないのか。
仕方ないので季沙の分の数学の課題をきょうは俺が解いてやっている。
字体はまったく違うけど、提出する必要はないらしいし特に問題はないだろう。
「こうちゃんは進路決まってていいな。ずるい」
そういう俺にもしっかり進路ナンチャラは配られてきたが。
わりとちゃんとした進学校なので、第一希望から第三希望まで記入できるのは大学名のみらしく、その点に関しては俺もいま詰んでいるところだ。
あした、3年になって新たに決まった担任の元へ話をしに行こうと思っている。
去年トシのクラスを受け持っていた人だからすんなりいきそうではあるのだけど。
「とりあえずてきとうでいいかな? 最終決定じゃないもんね。まだ4月だもんね」
「いいんじゃない」
「うん、じゃあ、そうしよ! また今度ゆっくり考えようっと」
そう言った季沙はさらさらと3つ、ためらいもせずに大学名を書き連ねていった。
そうして仕上がった進路ナンチャラを見て思わず絶句した。
全部、地元の大学だ。
ノートに数式を書きかけていた手が止まってしまう。
なんとなく答えを導きだせそうだったのが一瞬で吹っ飛んだ。



