「いろいろ……これからのこととか、聞かれた」
「そうなんだあ。トシくんも卒業しちゃったもんね。ヒロくんも高校生になるし、脇坂さん、心配してくれてるのかな。ほんとにみんなのお兄ちゃんみたいだね」
オーブンのなかを覗きこみながらなんでもなさそうに言う。
季沙はどう思っているのだろうか。
これからのこと、考えたりすることがあるのだろうか。
自身の将来のこと、俺の将来のこと、ふたりの将来のこと。
季沙は、どんなふうに見ているのだろう?
「こうちゃん、できたよっ」
「ありがとう」
食卓につき、湯気を吐きだしているグラタンにスプーンを刺す前に、目の前で幸せそうに笑っている季沙を見つめた。
「季沙。いつも、ありがとう」
「えー? へへ、なに、急にかしこまって!」
この顔を見ていると、いつかこんな家庭を持てたらと本気で考える。
自分で明かりを点けなくてもいい。
帰るといつも季沙がいて、うまいメシがあって、おかえりって、世界一やさしい笑顔で言ってくれるんだ。
季沙がそこにいると、ほっとする。
存在を感じるだけで心から安堵できる。
ずっと一緒にいたいって、本気で思う。



