グッバイ・メロディー



あえてそういう話をすることはお互いにほぼないし、ふたりのことについて詳しくはよく知らないが。

ただ、みちるさんと復縁することになったと言われたとき、単に幸福だけというふうな表情じゃなかったことは、よく覚えている。


アキはきっと、目の前にいるこの元恋人とは同じ選択をしないはずだ。

あの表情を思い出して、なんとなくでもたしかに、そう思った。


「べつに、全部捨てていけと言うわけじゃないさ」


今度は関谷さんが仕切り直すように言った。


「でも置いていったなにかは朽ち果ててしまうことが多い。だから、捨てていく、くらいの覚悟は必要かもしれないよ」


きみたちが選ぼうとしている道はそういう代償がつきものなんだ、と。

まるでこの人もそれをよく知っているかのような口ぶりで語るのだった。


「どちらかを選べなんて大げさなことは言えないけどね。置いていっても、連れていっても、多かれ少なかれ後悔はするんだと思うし」

「いまだにわかんねえな」

「うん、いつまでたってもわからない」


ワキさんと同じように、関谷さんにもその選択を迫られた過去があったのかもしれない。


彼は連れていったのだろうか。
それとも、置いていったのだろうか。

なにか後悔が、あるのだろうか。