「で、どうすんだ?」
ワキさんはもういちど訊ねた。
関谷さんが隣で息を吐く。
そして、相変わらず言葉が足りないな、と苦笑を浮かべた。
「真二が言いたいのは、進学も就職もしないで音楽を続けていくつもりなら、いままでみたいに学業の外側にある“趣味の一環”にはできなくなる、ってことだよ。これから、サークル活動でも副業でも息抜きでもなく、きみたちは本気で楽器を商売道具にしていくつもりなのかって話」
そういえば、そういう話を4人で改めてしたことは一度もなかった。
あまりに目まぐるしくて、
というのは、言い訳かもしれない。
正直、よくわからないままに、こうなってしまったように思う。
ほかの3人がどんなふうに感じているかはわからないけど。
少なくとも俺は、こんなことを言われて多少うろたえてしまうくらいには、けっこう地に足がつかないでここまで来てしまった気がする。
それでも、じゃあなにかと問われても、俺はギター以外になにも見つからないんだ。
「全員同じ顔をするんだな」
ぴんと張りつめた一瞬の静寂に、関谷さんがぽとりと柔い声を落とした。
「きみたちなら商売道具にできるよ、たぶんね。センス的にも、技術的にも、そしてメンタル的にも。いまの気持ちがしっかりありさえすれば」
どこか緩い感じの雰囲気を持っているのに、大事なときは厳しい顔をできる人だと思う。
とても独特の世界観のある人だ。
同じ人間とは思えないような。
なんだか違う宇宙を生きているような。



